春の光について考える2013.04.26

春の光というと、皆さんはどのような光を想像しますか?
まさしく今、感じている光について、改めて考えてみたいと思います。
※ここで言う春は、立春(2月)からスタートする暦の春ではなく、私達が普段感じる3月~5月の春とします。
harunohikari01


春の季語

○麗か(うららか)
陽光が晴れ晴れと照る様子。春の暖かな日ざしがやわらかく輝きわたり、周囲の何もかもが、
微笑んでいるように美しく見える様子をいう。
○長閑(のどか)
静かで平和なさま。春の日の、のんびりと平和な気分を表す言葉。
○山笑う(やまわらう)
春の山の明るい感じ。春の芽吹き始めた、華やかな山を表す季語。
○風光る(かぜひかる)
春風がきらきらと光り輝くように感じられることをいう。

これらの言葉を読むだけでも、イキイキ・ワクワクしてきますよね。やわからな印象とともに、若葉が一斉に芽吹くように、活気のある印象を覚えます。
ではこの感覚は何が引き起こしているのか?
春の光のもとである、太陽の光を少し天文的に考えたいと思います。


太陽
季節によって私たちが普段感じているのは、「太陽の高さ(高度)と光の強さ・弱さ」と「太陽が出ている時間の長さ(日照時間)」の違いだと思います。
これは、地球がつねに、地軸を公転面に立てた垂線に対して23.4°傾けたまま(地軸を北極星の方向に向けたまま)太陽のまわりを公転していることに起因するようです。地球が傾き公転しているという普遍的な、しかし偶然的ともいえることが、季節や時間をつくり、私たちに豊かな光環境を与えているんですね。
taiyo

○春分(3月21日頃)・秋分(9月20日頃)
夏至と冬至の中間。正確には、 正確には夏至よりも23.4°低く、冬至よりも23.4°高い。
○夏至(6月20日頃)
南中高度は一年のうちで最も高くなる。1年の中でもっとも昼が長く夜が短い。
○冬至(12月20日頃)
南中高度は一年のうちで最も低くなる。1年の中でもっとも昼が短く夜が長い。
つまり、この太陽の高度変動により、光の量が変わり、空気層を通る距離も変わるのでスペクトルも変動していると考えられます。


春の光をつくる
最近は照明計画の中でもサーカディアンリズム(概日リズム)が意識されるようになりましたが、上述のように、光環境は一日の周期だけでなく年間を通して変動しています。照明計画に豊かな日本の四季を取り入れることも考えられるかもしれません。

example(1)照度
太陽高度の変動は、実は照度に影響を与えます。太陽と地球の距離約1億5000万kmが一年を通じて大きく変化することはありませんが、太陽の高度、つまり地表への照射角度が異なります。仮に、右図のように電球1を夏至の南中高度、電球2を冬至の南中高度に置いた場合、それぞれの照度E1とE2は約2倍差という計算になります。太陽光についてはもう少し他の条件も考慮する必要がありそうですが、高度によって照度が変化することはほぼ間違いないと言えるでしょう。
そして春はちょうどその間の季節。動物も植物も目覚めるときです。少し照度を高めて、光を強くしてみると良いかもしれません。
また、春は日照時間も長くなります。冬至と春分の日を比べると、日の出時刻が1時間ほど早く、日の入り時刻は1時間ほど遅くなります。サーカディアンリズムによる調光も、季節によって時間帯を変えるとより自然に感じられますね。

参考:国立天文台 天文情報センター 暦計算室



(2)色温度

wakaba色温度と言えば、「夕陽が赤いのは空気層を通る距離が長いため、短波長(青い光)が散乱されて赤い光が残るから」というのは有名な話です。同じように、昼光でも比較的空気層の距離が長い冬は、全体エネルギーより青い光が少し逃げた光、そして春になると距離が短くなるので、青の光が届きスペクトルが揃うことで、明るくイキイキとした光の印象になると考えられます。
実際には、太陽が真上に位置するときと比べても、冬の太陽光の色温度は500K程度しか差がないようですが(太陽高度が約20°を下回るあたりからぐっと落ちていくそうです)、冬の照明が暖かみのある3000Kぐらいとすれば、春は照度とともに色温度も上げて、3500〜4000Kぐらいが似合うように思います。

(3)光の位置

20130321春は太陽高度が高くなるとは言え、夏のような照りつける光ではなく、「春霞」や「朧月」という言葉が表すように、空気中で拡散されたやわらかい光のイメージがあります。壁面や天井面で光を反射し拡散させる間接照明や、面で発光する光壁も春の光として取り入れられそうです。
また太陽高度が変化するように、光が自分に対してどの角度から差し込んでいるかを意識してみると、また新しい発見ができそうな気がします。

3月21日の太陽高度
参考:生活や実務に役立つサイト「keisan」



いま、LEDをはじめとする新しい光が進化を続けています。調光や調色、またそのシステムがより自由になることにより、さらに可能性を広げてゆくでしょう。
日常の光環境から提案できる新しい光があるかもしれない。
アイデアの源として、今は春の光をしっかりと身に浴び、記憶したいと思います。