正しく理解していますか?JIS照明基準2016.04.01

2016年6月、日本建築学会 環境工学委員会より、照明環境における「新しい規準1)」が発表されます。
そこで、今月から3回にわたり、新しい規準をいち早く理解するための特集をお届けします。
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まず第1回目は、現在多くの方が参考にしているJIS照明基準2)についておさらいしてみましょう。
作業に必要な明るさを確保するための「推奨照度」を知るとともに、JIS照明基準に関する「よくある質問」にお答えします。

そして、第2回・第3回では、本題である、新しい規準のポイント「輝度」や「ターゲット照明」という考え方についてご紹介していきます。

1)日本建築学会環境基準 照明環境規準(AIJES-L0002-2016)
2)JIS Z 9110:2010 照明基準総則

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目次
第1回 正しく理解していますか?JIS照明基準

第2回 大切なのは「輝度」

第3回 新しい規準:アンビエント照明とターゲット照明

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第1回 正しく理解していますか?JIS照明基準

照明の目的は、それぞれの空間・作業に必要な明るさの確保によって、安全かつ快適な視環境をつくり出すことです。
つまり、照明計画とは、空間内に適切な明るさを配分することだといえます。

明るさを表す単位はいくつかありますが、現在の照明計画における指標として一般的に用いられているのは「照度」です。

照度
単位面積当たりに入射する光の量。単位はlx(ルクス)。
光源によって照らされている面の明るさの程度を表す。

「光の単位」についてくわしく
「照度の計算方法」についてくわしく



照度に関する法規
それでは、適切な明るさとは一体どのくらいの照度なのでしょうか。
まず、照度設定において“順守しなければならない”法規をご紹介します。

労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)
第3編 衛生基準  第4章 採光及び照明  (照度)第604条
事業者は、労働者を常時就業させる場所の作業面の照度を、次の表の左欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の右欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料を取り扱う作業場、坑内の作業場その他特殊な作業を行なう作業場については、この限りでない。
労働安全衛生規則


本法規は、「職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進する(労働安全衛生法第1条)」ことを目的に、作業場所の「最低照度」を定めたものです。
つまり、本規定値を下回る作業環境は、明るさの不足による健康障害(例:眼精疲労や視力の低下)や安全性の低下(例:作業ミスや標識の見落とし)を及ぼすとみなされ、事業者は罰則の対象となる可能性があります。

しかしながら、本法規で定められているのはあくまで「最低照度」。安全かつ快適な視環境を十分に確保しているとはいえません。150 lxのオフィスで実際に作業をしてみると、その暗さにびっくりすることでしょう。
そこで、現実的な照度設定の参考にされているのが、JIS照明基準の「推奨照度」です。


JIS照明基準
JIS照明基準では、作業内容や空間の用途に応じた「推奨照度」を定めています。

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「JIS Z 9110:2010 照明基準総則」より



JIS照明基準のQ&A
JIS照明基準に関する「よくある質問」をまとめました。※回答は、質問をクリックすると表示されます。

Q:JIS照明基準は必ず守らなくてはいけませんか?
Q:推奨照度は、空間全体の平均照度で確保する必要がありますか?
Q:推奨照度に1 lx足りません。照明器具を増やした方がいいですか?
Q:高齢者も同じ照度でいいのでしょうか?
Q:照度以外に基準が定められている項目はありますか?



「新しい規準」に向けて
多くの人が携わる設計業務において、拠りどころとなる基準は必要であり、現在はJIS照明基準がそれを担っています。
一方で、JISでは考慮されていない照明要件のなかにも重要なものはあり、「JIS照明基準を満たしている=快適な視環境である」とはいえません。

2016年6月、日本建築学会 環境工学委員会より発表される「新しい規準」は、重要な照明要件にも関わらずこれまでは計算が困難であった「輝度」も、近年急速に発達した照明シミュレーションソフトによって算出可能であるという前提に立ち、視環境とエネルギーの最適化を目指した新たな枠組みの提示に挑戦しています。

第2回は、これからの照明計画において重要な役割を担う「輝度」という指標についてくわしくご紹介します。

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目次
第1回 正しく理解していますか?JIS照明基準

第2回 大切なのは「輝度」

第3回 新しい規準:アンビエント照明とターゲット照明

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