光を読む2014.08.08

光は手にとることができず、言葉での説明が難しいものです。
しかし照明を設計するには、照明器具カタログの情報から、光の姿を想像する必要があります。
カタログからはどのような光が読み取れるのでしょうか?
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カタログデータの読み方

○直射水平面照度
照明器具のカタログを見ると、以下のような図が載っています。これにより、光の広がりを知ることができます。

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直射水平面照度から、シャープなイメージの光なのか、ソフトな広がりのある光なのか読み取ることができます。

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○距離の逆2乗の法則
光源の直下照度がわかれば、5m先・10m先の照度も読み取ることができます。

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  応用編1 

ベースダウンライトの位置を決定する

それでは、カタログから読み取った情報をもとに、ベース照明で均一な地あかりをつくってみましょう。
下記データより、CH3000の照射距離であれば、光の広がりは約Φ3390です。

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したがって、ベースダウンライトの取付間隔を約3500ピッチに設定すれば、
床面にムラのない光が照射され、均一な地あかりをつくりだすことができるでしょう。
ただし、これは床面における分布です。
作業面など、床面より高い位置で均一な光が求められる場合には注意が必要です。

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  応用編2

什器への光の広がりとベース照明との関係
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次に、什器への光として、どの明るさの、どの配光を選べばいいのでしょうか。
一般的に、陳列什器などが周囲より浮き上がって見えるような「ピックアップ効果」を狙うには、
陳列什器に対してベース照度の1.5~2倍、重点ケースなどには、3~5倍の照度が必要だと言われています。
下記の条件で検証してみましょう。

・右図の位置にダウンライトを配置。
・ベース照度は800lx

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照度計算
照度のみに頼りきっていては、正しい明るさを推し量ることはできませんが、ひとつの目安として照度計算は活用されています。
下記は、光束法による計算式です。
これにより求まるのは、あくまで「平均水平面照度」であるため、主にオフィスなど均一な空間に適した計算式であるといえます。

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※この照明率データは使用する器具・ランプによって異なります。必ず各メーカーよりデータを入手して下さい。


それでは、実際に空間の床面平均照度を求めてみましょう。

■計算条件
・間口6.2m、奥行18.8m、天高2.6m
・使用器具…ERK8205W(LEDベースライト) 20台
・内装色・素材…天井:白 / 壁:白 / 床:木材(濃い色)


(1)まずは、計算式にある「照明率」を、上記の表から求めるために、「室指数」を計算します。
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(2)器具ごとの照明率データを用いて、計算空間に応じた「照明率」を読み取ります。
下記の表の反射率を参考に、天井:白(70%)・壁:白(50%)・床:木材(30%)と、
(1)で求めた室指数(1.79)との接点であるため、照明率は約 0.92 です。
<内装材の反射率>

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(3)光束法の計算式に数字を当てはめます。
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これで照度が求まりましたね!

今回は実際に計算式を用いて、照度を求めましたが、
実際には、便利なアプリケーションが普及しており、照度計算や照度分布を簡単にシミュレーションすることができます。

例:2次元照度計算ソフト「プランナー」




  補足:照度計算の盲点  

同じ内装材で、同じ照度の空間であれば、空間の見え方は同じだと考えがちではないでしょうか。
照明手法が異なる、以下のような2つの空間を見てみましょう。

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照度を計算してみると、ほぼ同じ値が求まりました。しかし、写真だと、空間の印象は大きく異なります。
つまり、照度計算は、不均一な光も空間全体の平均として計算してしまうため、印象が大きく異なる空間でも同じ数値で表現されてしまうのです。
均一な光が広がる空間に照度計算は有効ですが、店舗などめりはりのある光をつくりだすときには注意が必要です。