照明器具の塩害対策2021.03.17

「塩害(えんがい)」という言葉をご存知でしょうか?
海に近い地域では、海水に含まれる塩分が土や地下水に侵入してしまうことで農作物が育たなくなったり、塩分が付着することで機械や建物などが劣化してしまう、といった被害が発生します。こうした、塩分に起因する被害を総称して「塩害」といいます。
周囲を海に囲まれた日本において、切っても切れない関係である「塩害」。今回は、照明器具の塩害対策について、くわしくご紹介したいと思います。
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照明器具の塩害とは
「海沿いでは車が早く傷む」と言われますが、照明器具も塩害と無縁ではありません。

○照明器具の塩害

海に近い地域では、海水に含まれる塩分が潮風にのって飛来します。この飛来塩分が付着することで金属の腐食を進行し、照明器具および照明用ポールに錆びが発生する、急速に劣化する、といった被害が発生する。


salt_rust塩害対策を怠った場合、劣化が著しく早く進行し、予想外に早いタイミングで照明器具の交換を迫られてしまうことも。海の近くで屋外に照明器具を設置する場合は、予め塩害を考慮した上で、適切な塩害対策を講じることが大切です。

 


塩害対策が必要な地域
「海の近くでは塩害対策が必要」といっても、具体的には、海からどれくらいの距離の場合に対策が必要となるのでしょうか?飛来塩分の影響地域を以下の表で確認してみましょう。
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参考:(公社)日本道路協会「道路橋示方書・同解説」(平成14年3月)


同じ日本海沿岸部でも、関東と関西では海岸線からの距離が大きく異なっています。関西よりも関東の方が塩害対策を必要とするエリアが広いようです。
ただし、海岸線からの距離はあくまで目安です。海岸線の形状や海抜高さ、風向などによって、塩分の到達距離には大きな差が出ます。そのため、実際に塩害対策か必要かどうかは、既存の周辺建物の錆びの発生状況や劣化度合いを参考に見極める必要があります。また、軒下などは、雨によって塩分が洗い流されないため、腐食が進行しやすくなります。雨が当たらない場所では、より強い塩害対策が必要であることを覚えておきましょう。



照明器具の耐塩害レベル

港湾施設の整備や海浜公園の拡大が進む近年、海岸付近に設置される照明器具が増え、照明器具の塩害対策はこれまで以上に身近なものになっています。また、リゾート地における海を臨むホテルや旅館などに設置される照明器具も塩害対策が必要です。
日本照明器具工業会ガイドでは、照明器具および照明用ポールにおける耐塩害のレベルは「重耐塩」と「耐塩」の2段階で設定されています。
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重耐塩塗装と耐塩塗装

上記の耐塩害レベルを目安に、照明器具および照明用ポールに適切な塩害対策を講じましょう。
具体的には、照明器具の材料(鋼材やステンレスなど)に応じて、以下の表1~3で推奨されている耐塩塗料ならびに表面処理を施します。
耐塩塗料によって、コストや塗り替え年数、光沢の保持や白亜化(塗装面の光沢がなくなり、白土のような表面になる現象)の度合いが異なります。コスト面だけでなく、今後のメンテナンスや見映えのことを考えて選ぶことができるとよいですね。


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参考:(一社)日本照明器具工業会ガイド117:2010


salt_outdoor_lightこれまでは、塩害対策が必要な場合にのみ特別対応で耐塩塗装を施すことが多かったようですが、海岸付近に設置される照明器具の増加に伴い、重耐塩塗装や耐塩塗装を標準仕様とする屋外用照明も増えてきています。

参考:遠藤照明アウトドアシリーズ「To-Co concept」

 

日本では、塩害対策が必要な地域がたくさんあります。
飛来塩分に対して正しい対策を実施することで、海に近いところに設置される照明器具が長く活躍できるといいですね。