春の光をつくる2015.03.31

黒色とパステルカラー。“春っぽい”のはどっち?と聞かれたら、だれもがパステルカラーを選ぶのではないでしょうか?
このように、私たちは色などの特定の条件から、共通して“春”を連想することができます。
ということは、みんなが“春”を感じる光環境もきっとあるはず!
今回は、毎日光に接している、照明メーカーで働く24人にアンケートを実施。“春を感じる光”をつくる方法について考えてみました。
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■アンケート:光のプロ24人に聞きました
「 “春を感じる光”をつくるなら? 」

光環境を以下の4つの要素に絞って質問しました。
アンケート結果をもとに、それぞれ「”春”といえばこれ!」という解答を導き出します。
※”春”をキーワードに光そのものを具体化するべく、空間の種類・業態は特に設定していません。

(1) 色温度  …光の色を表す単位。
(2) 照度   …明るさの単位。
(3) 配光角  …光の広がり(ここでは1/2照度角を指す)。
(4) 照明手法


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(1) 色温度
■アンケート結果
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色温度は、私たちの体感温度に大きな影響を及ぼしており、
極端に言えば、「赤い光は暑く、青い光は寒く」感じます。
中間的な色味である3500Kを選んだ人が圧倒的に多いですね!


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■春の「色温度」はこれ!
3500K

spring2015_3500k3500Kは「温白色」と呼ばれます。その名のごとく、白のなかにも少し温かみを残した光の色が、春のさわやかで穏やかな気候を連想させたのではないでしょうか。
一方、2700K(電球色)は、寒さが厳しい冬には暖かく感じさせてくれそうですが、春というには少し赤みが強すぎるようです。反対に、一番青白い光である5000K(昼白色)は、すかっと晴れた夏の日差しのような印象ですね。ちなみに、太陽が放つ晴天時の光は8000K以上であり、実は、人工光源ではほとんど見られないほど青白い光です。
こうして比較してみると、やっぱり「春=3500K」がしっくりきますね。



(2) 照度
■アンケート結果
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300Lxと750Lx。意見が大きく二つに分かれました。
一般的に、300Lxはカフェやエレベーターホール、750Lxはオフィス空間などでよくみられる明るさです。


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■春の「照度」はこれ!
300~750Lx

spring2015_750lx意見としては二分しているものの、「極端に暗い/明るい」照度を選んだ人はほとんどいませんね。
人間の眼は、低照度下では色の識別能力が大幅に下がります。また、1500Lxの写真は、明度だけではなく彩度も上がり、白や淡い色が”白飛び”してしまっているように見えます。
菜の花の黄色、桜の薄ピンクなど、さまざまな色で溢れる春。「極端に暗くも明るくもない」300Lxと750Lxの回答は、皆がそれぞれに自然の彩りと相性の良い照度を模索した結果なのではないでしょうか。



(3) 配光角
■アンケート結果
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配光角が狭ければ狭いほど、境界がはっきりとしたシャープな光に、
広ければ広いほど、境界は曖昧になり、ソフトな光になります。
ほぼすべての人が、35°や60°という広角以上の光を選んでいますね。


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■春の「配光角」はこれ!
35°(広角)以上

spring2015_63degree狭角と広角では、光がつくりだす「影」の印象が大きく異なります。
参考:影について考える(2) ―影の用法―
狭角で放たれる鋭い光は、陰影によって物体の存在や素材の凹凸を強調し、ドラマティックな印象です。反対に、広角の光はナチュラルで、春の季語でもある『長閑(のどか)』な印象を受けます。
今回のテーマでは、光による演出効果の有無や良し悪しではなく、“春っぽさ”を追求しているため、35°以上のやわらかな光が適していますね!



(4) 照明手法
■アンケート(フリーワード形式)より抜粋

グレアレス。

 

桜のピンクや新緑の明るい緑が映えるような色味を用いる。
光源は見せずふんわりと柔らかい光がどこからともなくあふれるように。

 

ベース+演出、強くないメリハリで。

 

空間が光で満たされている感じ。
明確な光源がどこにもなく、どこでもどの方向からでもどこまでも同じ照度・輝度みたいなイメージ。

 

例えばレクタングル配光のような、柔らかくも光の強さを感じさせる間接照明。

 

『光が満ちた空間』『柔らかさ』『光源を感じさせない』などのキーワードが共通しているようです。
物販店では、メリハリのある光によってピックアップ効果を高める手法が一般的ですが、
春らしいパステルカラーはあえて均一な光にすることで、淡い色の繊細さが伝わるように感じます。


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■春の「照明手法」はこれ!
間接照明

spring2015_funwariまぶしさはNGだけど、やわらかくも生き生きとした光で空間が満ちている。
“春の光”とはそんなイメージではないでしょうか。
光源を感じさせずに、光で空間全体を満たす手法として代表的なのは、やはり間接照明でしょう。
間接照明とひとくくりに言っても、コーブ照明やバランス照明、光壁など、様々な種類がありますが、たとえば、光源を隠して壁面の上から下へ光を照射する「コーニス照明」を用いると、明るく照らされる壁面によって、光が“降り注ぐ”様子を視覚的に得ることができますね。


<間接照明の種類>
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“春”をキーワードに光を紐とくとき、みなさんの頭にはどのような景色が浮かびますか?
若葉に芽吹きのエネルギーを与える太陽の陽射し。
昼間とは趣を変え、夜桜を幽玄に照らし出すライトアップ。
歌舞伎座の外観を照らす光は、冬から春にかけて色温度が少し高くなり、東京タワーや東京スカイツリーは、桜の開花宣言に合わせ、ピンクのライトアップで春の訪れを告げます。

そして、こうした大がかりな光だけではなく、私たちの生活にもっと近いところでも、“春”のエッセンスを感じられる光はつくれるのではないでしょうか。
コートを脱ぎ捨て春色の服をまとうように、今年の春は、自分の身近な光を“春らしい”装いに変えてみたいな、と思いました。

今回は、“春の光”を屋内でつくる方法について考えてみましたが、以下ページでは、“春の光”そのものを天文学的に考察しています。是非、そちらもご覧ください。
春の光について考える