制御について考える2014.02.17

近年、光を取り巻く状況が大きく変革しようとしています。
LEDの開発は日進月歩であり、有機ELをはじめとする新光源も目立っています。
また、さらなる快適性や豊かさを求め、光環境をコントロールする「制御システム」にも期待が集まっています。点灯/消灯だけではない、より自由な「制御」の世界。今回は「制御」をテーマに、光環境の可能性について考えてみます。
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制御方式の違い
照明器具の制御には、いくつかの方式があります。制御方式の違いを知ることで、それぞれの長所や短所がみえてきます。

(1)位相制御
調光器を用いて、交流電源の波形の一部分を切り抜いたような波形を作り出すことで電力量を調整し、制御する方式。階調がなめらかであるため繊細な調光が可能である。白熱電球の調光制御において主流な方式であり、LED器具においては、パワーのあるものに対応ができないため、低パワーの器具にのみ使用されている。

(2)PWM (Pulse Width Modulation)
パルス幅の変調、つまり、電気信号におけるON/OFFの比率(デューティー比)を変えることで制御する方式。蛍光灯の出現に伴い開発された方式だが、配線替えをすることなくLED器具に置き換えることも可能であり、現在のLED器具調光において、日本で最も一般的な方式である。

(3)DMX (Digital Multiplex)

舞台照明を中心に演出機器の制御において、国際的に使用されている通信規格。カラーライトやムービングライトといった特殊照明における複雑な制御が可能である反面、一般的な用途で使用されることはほとんどない。

(4)DALI (Digital Addressable Lighting Interface)
ヨーロッパで開発された通信規格。オープンプロトコルであるため、DALI規格に準拠している機器であれば、メーカー問わず接続が可能である。信号線が必要だが配線回路に依存していないシステムであるため、モジュール単位で個別に制御することができる。しかし、日本市場への導入はまだまだ少ない。

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このように、白熱電球の制御に適した方式として位相制御、蛍光灯に適した方式としてPWM、…と制御の方式は変遷をたどってきました。そして現在、LED光源の出現により、無線信号による送信方式も誕生しています。多くの照明制御において当然のように必要だった信号線が不要となることで、制御の世界はまたひとつ、新たな扉を開いたといえるでしょう。
より自由に、よりきめ細やかに、光環境の可能性を広げるため、制御方式も進化を続けています。


制御でできること
技術の進歩に伴い、制御でできることはどんどん広がっています。以下に制御手法をご紹介します。

(1)適正照度維持
通常、照明計画の際は、光源が経年によって暗くなる“光束減衰”を予め考慮して計画するため、新設直後は、設計照度よりも明るい環境になっていました。しかし、照度センサーを用いれば、設定照度を自動感知し、新設時やランプ交換直後から適正照度を維持することが可能となります。いわゆる「初期照度補正」と呼ばれる機能ですが、良好な視環境を維持するといった点でとても有効な手段です。

(2)人感センサー
人がいるときに点灯する、いないときは消灯する。人感センサーとの連動による制御は、廊下やお手洗いなど、常に人がいるわけではない空間に効果的です。最近では、防犯を目的として玄関灯に導入されている住宅も多く見かけますね。

(3)昼光活用
省エネの手法としてスタンダードになりつつある昼光活用。
昼間、窓側と壁側で、光環境は大きく異なります。窓からの光に対応した自動制御により、室内は均一で快適な環境になります。太陽の光と上手に付き合うことで、快適性と省エネの両方を手に入れることができるでしょう。

(4)スケジュール管理
タイマーやスケジュール機能との連動により、点灯/消灯、調光率の変化など、シーンの切り替えを自動で行います。オフィスであれば、昼休みと業務時間で明るさに変化をもたせることで、リフレッシュ効果が期待できます。また、商業施設であれば、昼と夜、平日と土日で異なる光環境を作り出す手法もあるでしょう。
スケジュール管理の利用方法はさまざまです。室内においても四季にあわせて移り変わる光環境があっても素敵かもしれませんね。

(5)個別制御
上記「制御方式の違い」において、無線制御について触れましたが、これによって器具1台1台の個別制御が、信号線工事不要でより手軽に導入できるようになりました。1本の配線ダクトに設置されたスポットライトそれぞれに異なる調光をかけることも可能です。商業施設であれば、目立たせたい商品とその周囲との光の対比によりピックアップ効果を高めたり、空間における明るさのバランスをデザインすることで店舗に応じた雰囲気を演出したりと、頭に思い描いた光環境の実現がより身近なものとなるでしょう。

03.個別制御
例:無線コントロールシステム『SmartLEDZ』(遠藤照明)


同じ制御手法でも、使い方次第で発揮する効果はさまざまです。
空間の目的に応じて、制御による光のデザインを有効活用してみてはいかがでしょうか。


制御の未来
たくさんのことができる制御だからこそ、自分自身の中で光を“育てる”ことが大切なのかもしれません。
あなたにとって必要な光、無駄な光とは?そして光環境に求める付加価値とは?
身の回りに溢れる光を見つめ、さらなる可能性を思い描くとき、その実現を手助けしてくれるものが「制御」だといえるでしょう。
東京スカイツリーの光を生み出した照明デザイナー・戸恒浩人氏は、制御をテーマにしたセミナーにおいて、

―――アイデアが技術を進める


と述べられていました。
10年後、20年後、50年後…、制御の未来はどのような光を描くでしょうか。