色と光の関係について考える (1)2013.05.20

普段、私たちが当たり前に感じている色とりどりの世界。身の回りに色のない物体はありません。特に人間は、外部から受け取る情報の83%も視覚が占めており、物体の形だけではなく、色情報にも大きく依存していることが想像できます。
ところで私たちが感じ取っている「色」とは一体何でしょうか?今回は、色と大きく関わる光について考えてみたいと思います。
色と光①top


「光」と「視覚」がなければ「色」は存在しない
物体には特有の色があると考えがちですが、本当にそうでしょうか?
「色」とは、「光」と「視覚」が存在して初めて成り立つもの。「色」と「光」は切っても切り離せない存在なのですし、「視覚」がなければ、色は「色」として認識されません。
光源から光が物体に照射され、その反射光が眼に入ってくるのですが、この段階では単なる物理的なエネルギーでしかありません。その光のエネルギーを感じ取るのが眼の網膜上に分布している視細胞と呼ばれる細胞なのです。眼に入射した光によって刺激を受けた視細胞から、その刺激の大きさに応じた信号が脳に送られ、脳がその信号によって形や色を認識するからです。
例えばイチゴの色は、特定の波長の光を吸収し、残りを反射した結果の光が赤く認識されているということになります。つまり物体の色の違いは、反射(あるいは透過)特性の違いということになります。


植物はなぜ緑色なのか
green例えば植物の葉はなぜ緑色なのか。一般的には「葉が緑色の波長域を反射し、他の色の光を吸収して光合成しているため」という話をよく聞きます。しかしそもそも太陽光を効率よく吸収するためには、黒い葉をつくるのが理想的なはず。実は、植物の光合成装置は一度に大量のエネルギーを化学エネルギーに変換することができず、特に緑色光は吸収されにくいそうです。そこで、一旦葉に入った光を内部で何度も屈折させることで、吸収されやすい青色光や赤色光だけでなく、緑色光も70~80%吸収し光合成に活用しているのです。
一方、屈折の方向によっては緑色光の一部が葉の内部から出ていくため、葉が緑に見えるとのこと。このように物体の色には光と密接した理由があるのですね。

参考: 日本植物生理学会  WEBサイト



ヒトの眼の進化

monkeyPhotograph by Tambako the Jaguar

ヒトの網膜には、色覚に関わる錐体細胞が3種類(長波長(黄色周辺)に反応する赤錐体、中波長(黄緑周辺)に反応する緑錐体、短波長(青周辺)に反応する青錐体)存在します。眼が受けた可視光線はこれらの錐体によって「色」として知覚されるのです。
ちなみに、魚類、両生類、爬虫類、鳥類は4種類の錐体細胞を持つものが多く(4色型色覚)、霊長類以外のほとんどの哺乳類は2種類の錐体細胞しか持たない(2色型色覚)のだそうです。初期の哺乳類が主に夜行性だったため、色覚は生存に必要なく退化したと考えられています。
元々ヒトも2種類の錐体しか持っていませんでしたが、進化の過程で、第3の錐体細胞(緑錐体)が再生されたとのこと。なお3色型色覚は、緑の中に色鮮やかな果実や新芽を発見するのに有利だったと考えられます。

参考:三上章允「霊長類の色覚と進化」(京都大学霊長類研究所 東京公開講座「遺伝子から社会まで」)


このように見ると、生物の眼の進化にも様々な要因があり、色、つまりは光環境もその一つであったということが分かります。そして、地球の歴史から考えると、46億年前に地球が誕生し、生命誕生は35億年前、人類誕生が0.05億年(500万年)前、人工光源(白熱電球)の誕生が0.0000013年前(約130年前)ですから、その進化の過程のほとんどは、人間も動物も植物も、太陽光の元にあったといえます。
例えば食べ物が最もおいしそうに見える光とは?ストレスの少ない光とは?と考える上で、太陽光をお手本として捉えることはごく自然なことといえますね。


LEDのスペクトルの可能性
よく「太陽光に近い光源は何ですか?」という質問を受けますが、太陽光は万遍なくすべての可視光域のスペクトルを含みますので、その回答は非常に難しいです。光源の分光分布を比較すると、白熱電球は短波長と長波長の差が極端ですし、蛍光灯はある一部のみが突出した形になっています。その点LEDは、可視光域に関しては比較的太陽光に近いバランスといえるのではないでしょうか。実際、より太陽光に近いフルスペクトルを実現したLEDも存在しており、大きな可能性を持っているといえるでしょう。
最小限のエネルギーで「自然な光」=「フルスペクトルに近い光」を目指すことが、地球にとっても人にとってもやさしい選択ではないかと思います。

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