ダイニングルームと光2017.01.31

家族が集い食事をする、来客時にお茶を出す。
ダイニングルームは家のなかの中心となり、食事やコミュニケーションを支える大切な場所です。
今回は、ダイニングルームにおける照明について考えてみましょう。
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心地よい空間づくりに、光は不可欠。
ダイニングルームでも照明を上手に取り入れることで、こんなことができますよ。

<ダイニングルームの照明でできること>

・みんなが集まり団らんするための雰囲気をつくる
・ダイニングテーブル上の料理をおいしく見せる


ダイニングルームで過ごすひと時がもっと素敵になるよう、一緒に光をひも解いていきましょう。


団らんするための光
まずは、みんなが集まり団らんするための雰囲気をつくる光、について考えてみたいと思います。
食事の時間を心地よく過ごすためには、どれくらいの明るさで、どんな照明器具をつければよいのでしょうか?

(1) ダイニングテーブルとその周囲の明るさ

食事という行為に適した明るさは、ダイニングテーブル面で300 lx1)だといわれています。
ただし、テーブルだけが明るくその周囲が真っ暗だと陰気な印象になり、団らんにふさわしい雰囲気とはいえません。50 lx1)程度の柔らかな光で、テーブルを囲む人たちの顔を照らすことも大切です。
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1)「JIS Z 9110:2010照明基準総則」より



(2) テーブルの上にはペンダントライトを

照明器具はその形状により、得意なこと・苦手なことがあります。器具種類の理解を深め、ダイニングルームにぴったりの照明器具を見つけましょう。
まず、ダイニングテーブルの周囲を照らすには、広範囲を均一に照らすことが得意な「シーリングライト」や「ダウンライト」がおすすめです。空間全体の明るさ感を得つつ、テーブルを囲む人たちの顔をやさしく照らしましょう。
そして、テーブル面を照らすには、局部照明として「ペンダントライト」の導入がおすすめです。
ペンダントライトとは、コードやチェーンによる吊り下げ型の器具です。コードの長さを変えることで照射範囲が変化するため、テーブル面という限定的なエリアを明るく照らすのが得意です。また、周囲と明るさの差が生まれることによって、みんなの視線や気持ちを集める“中心感”が演出されます。みんなが集まる場所、という雰囲気づくりに最適な器具だといえます。大きなペンダントライトを1灯吊り下げたり、小さなペンダントライトを複数灯吊り下げたり、テーブルのサイズに応じて照明の数を変えながら、テーブル面の明るさを確保するとよいでしょう。

<ダイニングテーブル面を照らすには…>
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ペンダントライトを設置する高さは?

天井から吊り下げられたペンダントライトは、設置高さが高すぎると光源が目に入ってまぶしく、低すぎるとテーブル面全体を照らすことができません。
目安は、テーブル面から70cm程度の高さだといわれています。
大きなペンダントライトは少し高め(~80cm)、小さなペンダントは少し低め(50cm~)を意識するとよいでしょう。

 

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料理をおいしく見せる光
続いて、ダイニングテーブルの上に並ぶ料理をよりおいしく見せる光、について考えてみたいと思います。
料理をおいしく見せるためには、大切なキーワードが2つあります。

<料理をおいしく見せるキーワード>
○赤色の美しさ

赤色は食欲を掻き立てる色。赤色が美しいとおいしそうに見えます。

○リラックス

リラックスすると唾液の分泌が多くなります。おいしく感じやすくなるとともに、消化しやすくなります。

 

(1) 赤色を美しく見せる光

dining_tomato赤色を赤色に、色を正しく見せるためには、演色性が良い光源を選ぶことが大切です。演色性の数値Raは、100に近いほど色の再現が忠実であることを示してしています。料理の色彩を豊かに表現するためには、Ra80以上の光源を選ぶようにしましょう。
また、光の色(=色温度)も大切です。赤色を美しく発色させるためには、光も赤い波長を含んでいる必要があります。赤い波長を多く含む「電球色」の光を選ぶことで、料理の赤色が際立ち、食欲を掻き立てる効果が期待できます。

 

(2) リラックスに効果的な光

光の色が「電球色」であることは、リラックスにも効果的です。
私たち人間の身体は、太陽の光の影響を大きく受けており、日中のような白っぽい光の下では躍動感や活発さを感じ、夕陽のような赤っぽい光、すなわち電球色の光の下では落ち着き感や和やかな雰囲気を感じるそうです。
また、ペンダントライトのセード(=傘状の光源カバー)の素材にも注目してみましょう。ガラスや布など光を通す素材の場合、セードを透過した光が空間全体に広がり、柔らかな印象になります。
緊張していると食べ物が喉を通らなくなるように、料理を味わうためには、心と体がリラックスしていることが大切です。リラックスできる空間づくりは、”おいしい”への近道だといえます。

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ペンダントの名作「PH5」
ペンダントライトの名作、ルイスポールセンの「PH5」をご存知でしょうか?
PH5は、5枚の美しい反射板の構成により、真下だけでなく上部にも柔らかな間接光が広がります。
テーブル面の明るさを効率よく確保しながら、周囲をやさしく照らし出す。1つで2役こなすバランスの良さこそが名作だといわれる所以ですね。

 

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 今回ご紹介した、ダイニングルームにおける照明の考え方は、住宅に限らず、カフェやレストランでも応用できます。
“心地よい”や“おいしい”をサポートする存在として、ぜひ光を上手に取り入れてみてくださいね。