照度の“ 黄金比 ”はこれだ2014.11.14

今回の実験テーマは「店舗の光」。
オフィスのように、作業空間として均一な光環境が求められる空間とは異なり、店舗は、明暗を効果的に用いて商品や空間を演出します。この“光のメリハリ”は、店舗によって異なりますが、多くの人にとって心地よいと感じる安定した比率―すなわち、“ 黄金比 ”がきっとあるはずです。
総勢146名の方にご協力いただき、照度の“ 黄金比 ”を探してみました。
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ショップライティングには、商品が適切かつ魅力的に照らされると同時に、お客様が快適に買い物ができる視環境が求められており、主に、以下の三つの要素で構成されています。
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 (1)ベース照明

店舗内全体のベースとなる明るさを確保する照明(=地あかり)

 (2)演出照明

壁面什器や柱周り、テーブルなどを照らす、空間を演出するための照明

 (3)VP照明

VP(ビジュアルプレゼンテーション)すなわちショーウィンドウやメインディスプレイ、トルソーといった、「お店の顔」を照らす照明



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■実験内容
「  ベース照明:演出照明:VP照明 = 1:○:○  」
今回の実験では、ベース照明を「1」として照度を固定し、演出照明、VP照明の比率が異なる空間を5つ用意しました。

・参加者:146名
・実験方法

比率が異なる5つの空間を、比率を伏せた状態でランダムに繰り返し、評価項目ごとに<5点満点>で評価する。

・評価項目

 (1)演出的効果

商品が適切に照らされ、購買意欲を盛り上げる効果を発揮しているかどうか

 (2)好ましさ

お客様にとって心地よい視環境であるかどうか


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「暗い」「活気がない」「ぼんやりしている」といった意見が圧倒的だった『1:2:5』。
「控えめで高級感がある」といった声も。
一方で、「やわらかい印象」「落ち着く」「居間やカフェの雰囲気」といった、“心地よさ”を感じた方も多かったようです。

商品を照らすショップライティングとしては、思わず目を引くような派手さはありませんが、それがかえって自然な雰囲気をつくりだしていますね。



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『1:2:5』同様、『1:3:5』の空間も、「暗い」「おとなしい」「のっぺりしている」といった声が多く見られました。
加えて、「カジュアルで入りやすそう」「ありきたりな印象」といった評価も。

実は、照明業界で教科書的に扱われる比率は、この『1:3:5』です。そのため、『1:3:5』を意識して構成された店舗空間は数多く存在し、実際によく目にする照度比であるといえます。
平均的な3点という評価が圧倒的に多い棒グラフの結果もうなづけますね。



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「普通」「適度」「バランスがいい」「居心地がよさそう」といった意見が多かった『1:3:10』。
「メリハリがある」「演出的効果を感じる」「クリアに見える」「色鮮やかに感じる」といった声も。

『1:3:10』の空間では、『1:2:5』『1:3:5』ではほとんど感じることができなかった、[演出的効果]を感じることができたようです。
また、ある一定以上の明るさを確保することで、商品のディテールや色の認識がすいぶん向上することも分かりました。



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「商品が際立っている」「メリハリがある」といった声の一方で、「VPが目立たない」「均等に明るくメリハリがない」といった、相反する声も多くありました。
その他、「ポップ」「清潔感がある」「量販店のイメージ」といった意見も。

平均点としては、『1:3:10』と似た数値となった『1:5:7』ですが、[演出的効果]に関しては、棒グラフが異なる結果を示しています。多くの人が平均的な3点を下した『1:3:10』に対して、『1:5:7』は、評価そのものが分散するという面白い結果に。
個人で感じ方が大きく異なる光環境のようですね。



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「見せるべきところが明確」「全体のバランスがいい」「空間に興味がもてる」など、点数、コメント共に高評価が非常に多かった『1:5:10』。
「活気がある」「健康的」「カジュアル」といった、軽やかな印象を感じた方が多かったようです。
ただ、一部には「明るすぎる」「やや疲れる」といった意見もありました。

演出照明、VP照明ともに、ベース照明との照度差が一番大きく、メリハリのある『1:5:10』。
[演出的効果]、[好ましさ]ともに、1番高い評価を獲得しました。



 照度の“ 黄金比 ”はこれだ!

以上の結果により、今回の実験による、照度の“ 黄金比 ”は、
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「  ベース照明:演出照明:VP照明 = 1:5:10  」


に決定しました!
壁面什器や柱周りは、ベース照明の約5倍、メインディスプレイやトルソーなど店内で最も目立たせたい部分は約10倍の照度を与えることで、光で商品を浮き上がらせるような効果が発揮されます。これまで、お手本とされることの多かった『1:3:5』ではなく、より差が大きい『1:5:10』が好まれたことは興味深いですね。
時代によって流行が異なるように、求められている光環境もまた、変化しているようです。


今回の実験では、ベース照明の照度を固定して行いましたが、同じ比率でも基準となる照度を変えれば、明るい『1:2:5』や、暗い『1:5:10』をつくり出すことも可能です。
ショップコンセプトや対象顧客に合わせて、実験結果をカスタマイズし、その店舗に最適な“ 黄金比 ”を探してみてはいかがでしょうか。




ougonhi_009MARIOT CLUBの照明基礎セミナー

今回の“ 黄金比 ”実験は、遠藤照明MARIOT CLUBが主催する「照明基礎セミナー:光をつくる」にて実施しました。
ご協力いただいた参加者の皆様、誠にありがとうございました。
MARIOT CLUBでは、これからも“体感”をテーマにしたセミナーを続けてまいります。光にまつわる、実験してみたいテーマがございましたら、ぜひ「お問い合わせ」フォームよりお知らせください。