照明計画、その前に2014.08.08

人工的な空間の多くは、天井、壁、床、家具、カーテンなどや構造体から成り立ち、
自然光または照明器具によって採光されています。照明はどのように空間と関わり合っているのでしょうか?
照明計画を行う上で、とても大切な「光と空間の関係」についてご紹介します。
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明るさ感
私たちが空間を「明るい」と感じるかどうかは、その場所で反射され目に入る光―つまり「輝度」により左右されます。
しかし輝度は、見る位置や角度によってデータが変化するため測定が難しく、「照度」が明るさの指標とされることが多いのです。
しかし照度はあくまでもある面での明るさ。一方、「空間が明るく感じられるか」という感覚を「明るさ感」といいます。
照明を考える上では非常に重要な考え方です。

照明手法と明るさ感
同じ構成の空間を、2パターンの照明を入れてみました。どちらが明るく感じますか?

光と空間の関係①-01


床面照度は左の空間のほうが高いです。しかし、明るく感じるのは右の空間だと思います。
このようにして見ると、明るさ感には床面(平面)の照度より、壁面(鉛直面)の照度が重要と分かります。
残念ながら、「明るさ感」を評価する単位で統一されたものは、現在は存在しません。
しかし近年は、例えば3D空間上で照度分布を確認するツールが普及するなど、明るさ感の重要性は認識されつつあります。

例:3次元照度計算ソフト「DIALux」



内装材と明るさ感

空間には、光源から直接照射された光だけでなく、内装材で反射された光も影響します。
内装材は色や素材によって反射率が異なるため、明るさ感にも大きく影響します。

色による違い
黒い内装の空間で照明をたくさん点灯しても、十分な明るさ感はなかなか得られません。
このように、内装材の色は空間の明るさ感を決める大きな要素です。

光と空間の関係②-01 

 

素材による違い
カーペットなど柔らかい素材は光を乱反射するので、壁面へ反射される光の量も分散します。
セラミックなどの硬く鏡面に近い素材ほど、光を正反射し、壁面への照り返しも大きくなります。

光と空間の関係③-01

 

演色性と明るさ感
演色性が良いことで、物がきれいにはっきり見え、同じ照度であっても空間の「明るさ感」が向上するという効果があります。


照度と色温度の関係


クルーゾフ効果

色温度と照度には「クルーゾフ効果」と呼ばれるこの法則があります。
例えば色温度の低い光は、照度が低いと穏やかで暖かい快適な印象を与えますが、照度がある程度より高くなると、
逆に暑苦しく不快感を与えるというものです。光環境を設計する際は、このような快適性に配慮することも大切です。

光と空間の関係④-01


サーカディアンリズム

太陽の一日のリズムと人間の生活リズムには、密接な関係があります。
本来、生物には体内時計というものがあり、私たち人間は 24時間+αのリズムを持っています。
これがいわゆる、サーカディアンリズム(概日リズム)というもので、人間はその +αの時間を太陽光や温度などの日周リズム(外界環境)と同調して 24時間の周期に修正しているそうです。
そうした環境は無意識のうちに私たちに大きな影響を与え、例えば、夕陽のような暖かみのある電球の下では、落ち着き感や和やかな雰囲気を感じ、日中の太陽光のような白っぽい蛍光灯や放電灯の下では躍動感や活発さを感じるようです。


また、光が人間に与える影響は空間の雰囲気だけではありません。
日中に十分な光を浴びると、夜、メラトニンという睡眠を促進するホルモンが分泌されます。このホルモンが十分に出ることで、良質な睡眠を得られるようです。しかし日が暮れてから、昼間のような白くて強い光を浴びていると、このホルモンは十分に分泌されなくなり、眠りが浅くなってしまいます。


人工照明により、24時間 昼のような光を得られるようになりましたが、長い間受けてきた太陽光のリズムは、私たちの体にまだ刻み込まれているのです。

光と空間の関係⑤-01